北野 武監督第2作
1990年9月公開


(C)1990 バンダイビジュアル/松竹富士

CAST
小野昌彦(柳ユーレイ),石田ゆり子,井口薫仁(ガダルカナル・タカ)飯塚 実(ダンカン)芦川 誠,井川比佐志,ベンガル,ジョニー大倉,渡嘉敷勝男,ビートたけし ほか

STAFF

製作:奥山和由/脚本・監督:北野 武プロデューサー:鍋島壽夫,森 昌行,吉田多喜男/撮影:柳島克己/照明:高屋 齋/美術:佐々木 修/録音:堀内戦治/編集:谷口登司夫/監督補:天間敏広/助監督:吉川威史/製作担当:貝原正行

製作:バンダイ,松竹富士
配給:
松竹



INTRODUCTION
 80年代最後の年、映画『その男、凶暴につき』で彗星のごとくデビューした映画監督北野武、またの名をビートたけし。その新人監督らしからぬ演出力と、映画的な常識をことごとくくつがえす独創性は、低迷する日本映画界に大きな衝撃をもたらし、記録的なヒットを生んだ。そしてまた、際限のない暴力をモチーフに現代社会の暗部をえぐり出すという枠組みをはるかに超え、その表現の是非をめぐって社会的な議論にまで達するものになった。
 あれか1年───ヨーロッパを中心に世界史的な変動が起こっているにもかかわらず、平成の日本はあいかわらず大衆消費社会として、惰眠を貪っている。その真っ只中、たけしが早くも着手する監督第二作。それが、『3-4x 10月』である。
 ところで、『3-4x 10月』とは何だろうか。恐らくは野球のスコアに関係するものと思われる、『3-4x 10月』(・3対4エックス・と読む)の意味は? それに続く『10月』の意味は? ストーリーが秘密のヴェールにおおわれている現在、ここから何を推測しても、それは推測の域を出ないであろう。
 それでは、この映画はどんなジャンルに属するのであろうか。アクション映画、恋愛映画、青春映画、SF映画、コメディー映画、冒険映画等々、我々はこのタイトルから様々なジャンルを想像する。しかし、この映画『3-4x 10月』は、そのようなジャンル分けを一切拒否する。それは前述したジャンルのどれにも当てはまるものであり、従ってどれでもないのである。言い換えれば、映画としてのあらゆる要素を備えた映画、それが『3-4x 10月』なのである。
 全てが謎に包まれたこの映画についてただ一つ確実に言えることは、この作品はたけし自身の原案・脚本によるものであり、それ故にたけし自身のメッセージがより明確に現れるであろう、ということである。これは映画作家・北野 武が自らの全てを賭ける新たなる挑戦なのである。第一作の成功に安住せず、常に新しい挑戦を続けるたけしが何を仕出かすのか。全ては、この映画の完成とともに明らかにされるであろう。
 主役の雅樹には、・たけし軍団・の中でも最も個性がないと言われる・柳ユーレイ・こと小野昌彦という意表をつくキャスティング。ヒロインのサヤカにはオーディションによって『悲しい色やねん』の石田ゆり子が選ばれた。そして雅樹の兄貴分である隆志役は・ガダルカナル・タカ・こと井口薫仁が、雅樹の所属する草野球チームのメンバー和男役には・ダンカン・こと飯塚 実が演じる。
 この4人の周囲を『チ・ン・ピ・ラ』のジョニー大倉、『乱』の井川比佐志、『北京的西瓜』のベンガル、そして元プロボクシング世界チャンピオンの渡嘉敷勝男ら異色のキャストが固め、たけし本人も脇役で出演する。
 また、この映画には・たけし軍団・のメンバーが先に紹介した3人を始めとして出演するが、いずれもクレジット・タイトルには本名で登場することになる。この点、・軍団映画・というイメージをこの映画から払拭しようという監督たけしの意図が伺われるところである。
 撮影は5月都内ロケによりクランク・イン。都内及び近郊ロケ主体の撮影の他、沖縄においてもロケが行われた。
<パンフレットより>


STORY
■主演の柳ユーレイはこんな役
 ガソリンスタンドに勤めている雅樹は、野球チーム“イーグルス”に所属していた。これといって取柄のない雅樹は、誰からも煙たがられている存在であった。今日の試合でも、代打に出れば三球三振、コーチャーズボックスに立てば何のサインも出さずにランナーはアウトになってしまう-----。仲間からいくら文句を言われても、顔色一つ変えない無感覚人間だった。

■事件はこうして起こった?
 試合が終ってガソリンスタンドに戻った雅樹は、暴力団大友組組員・金井の車の洗車を押し付けられる。しかし、トロい雅樹は何をしていいか分からず、ウロウロするばかりで、逆上した金井に殴られてしまう始末。負けじと、雅樹も殴り返そうとするが相手はケンカのプロ、軽くいなされてしまう。そして突然、金井が騒ぎ出した。「手がイタイッ! 骨折したア!!」雅樹とガソリンスタンドに、最大の危機が訪れた。

■野球チームvs.ヤクザ前面抗争!
 スナック“イーグルス”のマスター・隆志は、野球チーム“イーグルス”の大ファンで以前から何かと雅樹に目をかけていた。彼は、雅樹とガソリンスタンドを救うために立ち上がる決心をする。隆志は、かつて大友組の組員で、組長とは兄弟分だったのだ。

■拳銃を求めて、沖縄へ
 沖縄----。薄暗いスナックの片隅で兄貴分らしき男から文句を言われている二人のチンピラヤクザ。それを遠くから見つめている雅樹たち。スナックから出た二人を追いかけた雅樹は、金を渡して拳銃の入手を頼み込む。二人のチンピラヤクザ上原と王城は組の金を使い込んでいて、返済するか?殺されるか?二つに一つの運命だった。
 沖縄でも、ヤクザの抗争は始まろうとしていた。

■野球チームVSヤクザ最後の血戦!
 拳銃を手に入れて東京に戻ってみると、隆志は行方不明。イーグルスのメンバー・和男と朗、それに雅樹の三人は、拳銃を片手に大友組の様子を探りに行く。ところが和男と朗が、メタメタにやられてしまう。一人逃げ延びた雅樹は、ガソリンスタンドからタンクローリーを盗み、大友組の事務所に突っ込んで行った!----しかし、これでジ・エンドとはいかなかった・・・・・。


→English