岸本加世子



極端に台詞を切り詰められた美幸役を好演。少しづつ生命を失って(枯れて)行く花に、慈しむように水をやり続ける。西とふたりで積み重ねて行く静なドラマは、ラストで彼女が発する「たったふたこと」だけの台詞で一気に破られる。
25人に及ぶオーディションで北野武が選んだのが岸本加世子。「色がついていない」新人を起用し、彼らが秘める「素」の魅力をスクリーンに引き出してきた北野武が、岸本のこれまで手つかずだった「素」顔を引き出した。1976年、「たまたま見に行った」テレビの公開放送の現場でスカウトされ、翌年、TBS『 ムー』のお手伝いさん役でデビュー。その後、TBS『人間の証明』、『ムー一族』(78)、NHK 向田邦子作品『あ・うん』(80)『続あ・うん』(81)などに出演。同年、『 ムー』『ムー 一族』のプロデューサー、久世光彦の映画初監督作品、「夢一族/ザ・らいばる」に精神薄弱の少女役で映画初出演。樹木希林との掛合い漫才タッチのCMも話題となる。一方、同年に芸術座の『雪まろげ』で初舞台を踏み、ゴールデンアロー賞演劇部門新人賞受賞。89年に同年急逝した美空ひばりの追悼4時間番組『美空ひばり物語』(TBS)の熱演が評判を呼ぶ。出演映画は山田洋次監督「男はつらいよ/寅次郎紙風船」(81)、篠田正浩監督「悪霊島」(81)、柄本明監督「空がこんなに青いわけがない」(93)など。60年、静岡県生まれ。


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