劇場

御園座の歴史 御園座は、名古屋の中心部にある日本最古の芝居小屋です。1889（明22）年、初代中村鴈治郎の提唱により演芸界、財界、政界有志の協力のもと、京都南座をモデルにして創建された芝居小屋「御園座」が、４か月の工期を経て彌生町に完成。こけら落とし公演が行われました。 1891年（明24）年の大火で焼失、わずか2年で姿を消した御園座は、1894年（明27）年に彌生町に再建された初代御園座も、1907年（明40）年の大火で焼失。1913年（大2）年に木造瓦葺平屋入母屋造り、収容人員1,550人、総工費17万8,720円で、中区御園町（現・中区錦3）に3代目の常設木造芝居小屋として再建。歌右衛門の舞踊『藤娘』でこけら落とし。長唄はこのときから御園座の伴奏楽器と決まる。第2次世界大戦下の1945年（昭20）年の名古屋大空襲で焼失。 1951年（昭26）年に戦後の復興事業の一環として、収容人員1,789人、延べ工事期間65日で、現在の場所である中区錦三丁目の「中日新聞名古屋本社裏手地」に4代目の御園座が建設された。設計は、前年に名古屋テレビ塔（現・名古屋テレビ塔資料館）を完成させたばかりの、名古屋出身の藤井信夫。木造・瓦葺の二階建ての建物で、間口40.9メートル、奥行47.2メートル、高さ13.9メートル。こけら落としは3月18日に長瀬喜伴作詞・團伊玖磨作曲による御園座の歌『名古屋の灯』が披露された。 1964年（昭39）年12月11日、鉄筋コンクリート造、地下1階、地階1階、2階、3階、4階、屋上1階、鉄骨鉄筋コンクリート造、中2階、中3階、中4階、中5階、延べ面積12,065.05平方メートル、収容人員1,768人（うち553人は屋上庭園、120人は特別桟敷席）規模の現在の建物が完成。設計は、名古屋城北詰櫓、名古屋市美術館、名古屋テレビ塔など名古屋の街並みに大きな影響を与えた村野藤吾。 10年がかりで資金を集めて建てられたこの建物は、鉄筋コンクリート造り、モダンで機能的かつ象徴的な外観を呈し、名古屋の名物として今や名古屋の演劇文化の根幹を担うまでになった。