アルタッドに捧ぐ:金子薫の小説について
アルタッドに捧ぐは、金子薫が1960年に発表した長編小説です。学制改革後初の高校卒業生である主人公の「私」が、理想に燃えて大学進学を目指し、挫折や苦悩を味わいながら成長していく物語です。
この小説は、戦後日本社会の混迷と若者の生きづらさを描いたリアリズム文学の傑作として評価されています。また、アルタッドとは、スペイン語で「祭壇」を意味し、小説の舞台となる大学の図書館を指しています。主人公は、この図書館で様々な本と出会い、知識と教養を身につけていきます。そして、やがて「私」は、アルタッドを「若者たちの聖地」と呼び、自らの青春を捧げることを決意するのです。
アルタッドに捧ぐは、1961年に直木賞を受賞しました。また、1981年には映画化もされました。この小説は、現在でも多くの若者に読み継がれており、日本の近代文学史に残る名作として知られています。